No 11 2008年7-10月 本州一周

ホームポート泉大津から小笠原諸島の父島を経由して反時計回りの本州一周の航海を行った。

 

当初の航海計画は南太平洋に浮かぶ島サモアを往復航海するものであった、そのつもりで装備・食料その他の準備を整えて7月1日にホームポートを出発し第一番目目の寄港地である父島を目指した。父島には7月7日に到着した、7月10日にエンジンの海水冷却水ポンプから水漏れしているのを発見した、水漏れはエンジン運転中には生ぜず停止すると生じていた。このまま航海を続けるのは無理と判断し修理することにしてポンプの駆動軸のシールを取り寄せることにした。東京と父島の間は航空便はなく一週間に一度の船便でつながっているだけである、そのために一度船積みを失敗すると一週間遅れてしまう、交換するシールを入手できたのが7月24日になってしまった。

 

8月になると南方方面は台風シーズンに入り、このままサモアに向けて南下すると台風に遭遇する可能性が出てきたのでサモア行きを断念して逆に北上し本州を反時計回りに一周することに計画を変更して7月30日父島を出発した。


Quukay 航海記 2008本州一周航海記録

 NO    寄港地   日付    緯度      経度   航海時間 
入港    出港    度   分    度    分
0 泉大津マリーナ    --  7月1日    34  30.749  135  23.665  --
1 二見漁港 7月7日  7月30日 27 5.922 142 12.000 146.0
2 銚子マリーナ   8月4日 8月5日 35  42.109 140 50.310  125.0
3 下風呂漁港 8月9日 8月10日  41 28.188  141 5.630 144.5
4 函館港 8月10日 8月14日  41 46.021 140 42.996 8.0
5 吉岡漁港 8月14日 8月15日  41 26.914 140 14.368   7.0
6 深浦漁港 8月16日 8月22日  40 38.629 139 55.760  24.5
7 秋田港 8月22日 8月23日 39  44.639 140  4.015  18.5
8 秋田マリーナ  8月23日 8月28日  39  47.322  140  2.290 1.0
9 本荘マリーナ 8月28日 8月29日 39 23.605 140 0.923 5.0
10 酒田マリーナ  8月29日  8月31日 38 55.641 139 49.029 7.0
11 鼠ヶ関漁港  8月31日 9月1日 38 33.770  139 32.755  5.5
12 新潟港 9月1日 9月2日 37 55.440 139 3.459 10.0
13 赤泊漁港  9月2日 9月3日 37 52.793 138 25.843 6.0
14 小木港 9月3日 9月4日 37 48.635 138 17.644 2.0
15 直江津 9月4日 9月5日 37 11.040  138 15.243 7.5
16 狼煙漁港  9月5日  9月6日 37  31.542 137 19.707 10.0
17 輪島漁港  9月6日 9月8日  37 24.238 136 54.167  6.5
18 福浦漁港  9月8日 9月9日  37  5.101 136 43.540 6.5
19 金沢港  9月9日 9月10日 36 37.076 136 36.219 6.0
20 三国港 9月10日  9月11日  36 12.739 136 8.963  9.0
21 越前漁港 9月11日  9月12日 35 55.833  135 59.759 4.5
22 小浜漁港  9月12日 9月15日 35 30.067 135 44.183 7.5
23 伊根湾 9月15日  9月17日 35 40.471  135 17.320 7.0
24 柴山漁港 9月17日 9月20日 35 39.442 134 39.618  7.0
25 鳥取港 9月20日 9月22日 35 32.103 134 32.103 5.5
26 境マリーナ  9月22日 9月23日 35 30.910 133 15.136  10.0
27 小伊津漁港 9月23日 9月25日 35 30.222  132 50.493 8.5
28 十六島漁港 9月25日 9月27日 35 27.510 132 44.991 8.0
29 大社漁港 9月27日 9月28日 35 24.075 132 39.325 3.0
30 浜田漁港 9月28日 9月30日 34 53.697 132 4.095 8.5
31 萩漁港 9月30日 10月2日 34 26.143 131 24.809 9.0
32 室津マリーナ 10月2日 10月3日 34 8.313 130 53.200 9.0
33 門司第二船溜  10月3日 10月4日 33 57.187 130 57.886 5.0
34 大海漁港 10月4日 10月5日 34 1.902 131 28.201 8.5
35 上関漁港 10月5日 10月6日 33 50.094 132 6.978 7.0
36 廿日市ボートパーク 10月6日 10月7日  34 21.226 132 21.173 8.0
37 大崎下島海の駅 10月7日 10月9日 34 11.311 132 51.163 8.0
38 弓削海の駅 10月9日 10月10日 34 15.495 133 12.222  5.0
39 粟島漁港 10月10日 10月11日 34 16.089 133 37.954 5.5
40 宇野港第三埠頭  10月11日 10月12日 34 29.236 133 56.899  5.0
41 室津海の駅 10月12日 10月13日 34 29.182 134 29.182  6.5
0 泉大津マリーナ 10月13日  -- 34 30.749 135 23.665 8.5

 日数合計 104日           航海時間合計 710.0         航海距離合計 2850 NM              エンジン使用時間合計 721 H

 


父島-銚子の航海

父島から直接函館まで向かうつもりであったが、風がないため機走を余儀なくされ燃料が不足したので補給のために銚子に寄港した。

この時は黒潮が八丈島を迂回し大きく蛇行しており、この北上する流れを利用して航海を行った、右の図から分かるように8月2日までの1日の航海距離に比べて8月2日以降の航海距離が2倍強延びている。

津軽海峡

津軽海峡の潮流は常に日本海側から太平洋側に流れている、その速度は季節や時間により変化するが6ノット以上に達することがあるとされている。色々と調べたが海峡の潮流の予測資料を見つけることができなかったので潮流の速度を知らずに海峡に入りそして横断することとなった。そのために太平洋側から下北半島の尻屋崎をかわして海峡に入るタイミングを早朝にして海峡に入ってからの時間的に余裕が取れるようにした、また横断する際にも同様に早朝に出発した。


下風呂漁港までの航跡(緑色)

函館港から吉岡漁港までの航跡

下風呂漁港から函館港までの航跡

吉岡漁港から深浦漁港までの航跡


日本海側の航海

日本海側は深浦漁港でミーティングした古くからのヨット仲間であるヨット「東日流(つがる)」の堀内さんの案内で航海した。

堀内さんはすでに日本一周を果たし、今回は北海道の奥尻島まで航海し大阪まで帰港するところであった、日本海側を熟知しているベテランヨットマンである。おかげさまで事前に全く調査していなかった日本海側の多くの港に難なく寄港することができた、大変感謝している。

日本海側は海流が北上していて、南下するのはそれに対して逆らうことになるのでヨットにとっては厳しいという認識を持っていたが、今回の航海を行いそれが間違いであることが分かった、沿岸に沿って2~3マイル沖合いを通ることで大部分で逆潮を受けることは無かった、しかし岬を回航する場合や、日本海に突き出ている半島の南側では強い逆潮を受けた、特に男鹿半島の南側で秋田マリーナを目指したときには3ノット前後の逆潮を受け難儀した。「東日流」の経験でも北上した時より南下した時の方が燃料の消費量が半分近くですんだようだ、このことから南下する場合は沿岸に沿って航海することが有利であることを示していると思われる。

ヨットで日本海側を航海する場合は、北上は沖合いの航路を採って潮流を利用し、南下は沿岸沿いの航路を採るのが良いと思われる。

航海を終えて

サモア往復の航海を達成することができなかったが、幸運にもヨット「東日流」と回り逢うことが出来、本州一周を果たすことが出来たのは望外の喜びである。日本一周としては北海道と九州西岸及び沖縄南端が残っているので何時の日にか制覇したいと思っている。

 

サモアへの再挑戦もしたいと思っている

父島 二見港 7月16日

 

佐渡島 小木漁港 9月3日

厳島神社 10月6日

函館港 8月12日

関門大橋 10月3日

明石海峡大橋 10月13日