No.2 2000年8月 日和佐クルージング

昨年7月に亡くなった父の初盆をすま せ、8月16日から20日までの予定 で日和佐まで往復することにしました 。

 

往路では伊島、復路では沼島で停泊し ようと計画していましたが、往復路共 に順調に航海できたので停泊を省略し ました。

 

伊島、沼島は以前に幾度も訪れていま すが日和佐は今回が初訪問です。

 

友人から日和佐まで行くのであれば是 非牟岐大島まで足を伸ばすべきとの助 言があり、日程の余裕ができたので訪 れました。

 

往路は風がなく機走(エンジンで走る )となりました、復路は南東からの風 を受け機帆走(エンジンとセールの両 方で走る)で快調に航海し牟岐大島か ら泉大津までを約11時間30分で走り ました。

 

蒲生岬と伊島の間には岩礁があり安全に航行できる水路は3箇所しかないようです。伊島の東側を通過すれば問題ないのですが遠回りになるので今回は最も安心して通れるとされている蒲生岬側の航路を通過した。

この航路は岬の先端と沖側の岩礁を見ながらその間を通ることになるのでヨットを完全にコントロールできる状態であれば安心して通過できます。しかし強風時や夜間などの通行は避けるべきでしょう。


日和佐

日和佐港は小型船にとってはこの上ない素晴 らしい泊地です。外海とは日和佐川を通して L字型につながっていて全く波が入ってこな いので水面は鏡のように保たれいます。

私が入港したときは岸壁が十分空いていたの で横付けにさせてもらいました。

この港は係船料が必要です、74トン以下の 場合1日につき200円、すぐ近くの土木事務所 管理係(tel. 77-1222)に支払います。

 


うみがめの来る町日和佐

日和佐町の観光案内がホームページhttp:// www.nmt.ne.jp/~hiwasaで見られますので ご覧ください。

 

鶴は千年、亀は万年と亀さんが長寿でおめ でたい生き物という程度の知識しか持ち合 わせていなかったのですが、うみがめ博物 館を訪れ亀さんがなんと2億年の歴史を持っ ている事を知り驚きました。

人の誕生が700~500万年前とされている ので、亀さんを100歳に例えると人は2~3歳 でしかないのです。

日本列島がアジア大陸と地続きで人がマン モスを追いかけていた旧石器時代が約5万 年前ですから同じ尺度ではほんの9日前の出 来事なのです。

アカウミガメ

(日和佐町パンフレットから複写)

ウミガメが産卵に来る大浜海岸


亀さんの先祖は恐竜が絶滅した地球の壊滅的な環境変化や過酷な氷河期に対応して生き延びてきたので すからその生命力には驚嘆します。

アカウミガメが何時頃からこの海岸を産卵場所としてきたのかわかりませんがそれは人間がこの地に住 み着くよりは遥か以前のことでしょう。

今年は24頭が産卵に上陸したそうです、1950年から上陸した頭数の記録があり前記ホームページで 見ることができます。人間が捕獲し食用にしたことでウミガメの生存数が減少しているそうです、驚異 的な生命力も人間には敵わないということです、言い換えると人間はなんと恐ろしい動物だということ になります。

 

しかし、案外亀さんは2億年の知恵でそのうちに人間に対する対応策を考え出し人間が滅亡したあとも 悠々と生き残っているようにも思えます。

写真では見ずらいのですが中央の山の上に 日和佐城があります、この山の右手が太平 洋、左手の山すそに港があります。

訪れたのは8月ですがすでに稲穂が実り収穫 が始まっていました。

四国霊場23番札所 薬王寺の山門です。

厄除けの寺として815年に弘法大師によっ て開基されたそうです。

港から徒歩で15分ぐらいの所にあります。


牟岐大島

牟岐大島は東西2.2キロ、南北1.8キロの無 人島です。

港湾施設はなく、自然の入り江に停泊します。右 の写真は日和佐から島への航海途中に南西に向か って撮影したものです、写真の島の右端を回り込 んだ所に入り江があります。

 

入り江は奥行き750メートル、幅300メート ルほどで、その奥が少しL字形広がっており、そ こに停泊します。外海の波は直接入ってくる事は なく、周囲は山で囲まれているので風は遮断され 絶好の泊地になっています。

 

私が訪れたとき、昼間はダイビング教室が行われ いたり臨海学校で約20人ほどの小学生がカヌー で遊んだりして賑やかでしたが、夕方には全員が 引き揚げ夜は私一人となり島を独占することとな りました。


夕食を終えてまだ明かりがあり、デッキで本を読もうとしたとき突然蚊の集団に攻撃されたのには驚き ました。脚を見ると数十匹の蚊が取り付いていました、急いで追い払い船内に逃げ込みハッチを閉め、 蚊取りのスプレイを振りかけ難を逃れました。

ハッチを全部閉めて船内に閉じこもると暑くなり困ったなと思案していたとき、昔家で使っていた蚊帳 を捨てるのは勿体ないとヨットに積んでおいたことを思い出しました、それを引っ張り出しコックピッ トの上に張りました。それでコックピットから船内に入るハッチを開けておくことができ外気を取り入 れることできるようになり船内は快適になりました。来年の夏までに蚊対策をしなければと考えていま す。夜になり周囲が闇に包まれると蚊はあまり気にならなくなりデッキで夜空を楽しむことができました。月が山の上に顔を出すまでの時間久しぶりに満天の星と天の川をゆっくり眺めることができました。

入り江の入り口方向を望む、右側にしめ縄の 張ってある岩を横方向から撮ったのが下の写 真です。自然が生み出した偉大なる芸術作品 として有名な岩です。

夕方から翌日の朝まで一艇だけでこの入り 江を独占しました。

入り江の奥にある砂浜と島の深い森。

この砂浜で臨海学校が行われていました。